日頃から馬を世話する「厩務スタッフ」だからこそ感じられる"馬の魅力"」とは by T.Kさん
「withuma.」vol.76 T.Kさん
Profile
お名前:T.Kさん
居住地:東京都
第76回は、厩務スタッフとして38年間馬のお世話をされている、T.Kさんです。
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
T.Kさんの「withuma.」
写真:本人提供
厩務アルバイトをしています。
きっかけは、38年前に見た一般求人誌の募集でした。
厩務作業においては、時間や手間に制限はありますが、可能な限り馬たちの快適を叶えたいと思っています。
今では定年の方が近くなってしまいましたが、その日まで、お馬たちとの時間を大切に過ごしたいと思います。
38年…とても長い間、馬のお世話をされてきたのですね。
競技会やレースで馬の能力を引き出すのはライダーの技量ですが、本番でベストパフォーマンスを出せるように、そこに臨むまでの管理をするのが日頃お世話をし、厩務作業をされている方だと思います。
まさに縁の下の力持ち!
私も常日頃、厩務スタッフの方々を心から尊敬しております。
T.Kさんの「Loveuma.」
写真:本人提供
生来の馬好きで、就学前には自分の自転車に手綱代わりに紐を付けて、乗馬をしているつもりになっているような子供でした。
実際に馬の居る場で働けるようになったのは、学生時代に、今の厩舎の求人を一般求人誌で見つけて以来の事です。
写真:本人提供
私が思う馬の魅力は、やはり彼らが持つ『癒しの力』です。
私は、競馬も乗馬もせず厩務一筋なので、自分自身の事で胸が湧き立つようなエピソードなど何もありませんが、お馬たちと意思疎通しながらするお仕事の時間が、何よりも癒され、元気をもらえる宝物です。
更に「馬ならでは」という点では、人と共に働く姿、競技会での活躍を応援できる魅力もあります。
普段、厩舎で大好きな人に甘えたりしている子たちが、イベントや競技会で一生懸命に頑張っている姿は、いつも尊敬の念と共に、胸が熱くなります。
写真:本人提供
厩舎に所属している競技馬、特に馬場馬術の馬たちには、海外へ応援に行くなど、たくさんの晴れ舞台を見させていただきました。
私にとって彼らは、宝物の様な時間を共に過ごした"心友"です。
『自転車に紐を付けて乗馬をしているつもりに…』、クスッと笑ってしまいました(笑)
想像すると、とても微笑ましい光景ですね(笑)
「癒しの力」には、とても共感しました。
馬と触れ合っていると、喧騒や雑念を忘れて、気がつけば結構な時間が経っていることがあります。
あのひと時が、最もパワーを貰える時間だと私も感じています。
普段甘えてくる子たちが、競技会で一生懸命に頑張っている姿には、我が子の晴れ舞台を見ている様と言いますか、感動させられるシーンだなと想像いたしました。
普段からお世話し、色々な一面を知っている方ならではのエピソードをありがとうございました!
引退馬問題について
写真:本人提供
現在行っている引退馬支援活動としては、引退馬協会さんの賛同会員になっています。
引退馬問題の解決に必要な事としては、楽しませてもらった人や、利益を得た団体などが、年金制度を作るべきではと思います。
しかしながら、生産されたり輸入されたりする馬の数が多すぎて、それだけでは解決できないとも感じています。
年金制度、つまり養老余生の飼養管理費を捻出できるように、馬が現役の頃から積み立てを行っておくということでしょうか。
『withuma.』vol.74でも牧場経営者の小沢さんが、「馬を通じてお金を稼いでいる餌屋さん、馬運業者、競馬の運営に携わる人々、すべての『馬がいないと生活できない』人々は感心を持ち、協力すべきだと思います。」と仰っていました。
私の個人的な考えとしまして、競馬で馬が稼いだ賞金を得るのは、馬主、調教師、騎手、厩務員ですので、そこから一定額を積み立てるというのは、とても現実的な仕組みであり、制度としても実施しやすい形であるかと思います。
一方で、競馬ファンやその他関係者はどのように関わっていくのかというところは、まだ検討すべき部分が多いですよね。
そしてT.Kさんが仰るように、馬の所在を把握し続けるのは、現状のシステムでは難しい部分もあります。
海外で取り入れられている「トレーサビリティ」という、馬の流通を正確に把握できるシステムの導入も、1つの可能性として検討することも大切なのではないかと感じました。
今回は、厩務スタッフとして38年間馬のお世話をされている、T.Kさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
▼詳細は下記バナーをクリック!
協力:T.Kさん 取材・文:片川 晴喜 編集:椎葉 権成 著作:Creem Pan
明けましておめでとうございます。🎍🌅🐉
Loveuma.を作る方、見る方、そして登場する全てのお馬と生き物仲間たち、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。😌🙏🏻💕
2024年の初コメントがT.Kさんのような方の回で嬉しいです。
お世話される馬たちからすれば一番好きな「お母さん」に違いなく、母の日を祝うという習慣が彼らにあったなら、みんながT.Kさんのもとへカーネーションをくわえて殺到して大変なことになると思います。👩🏻✨ 💐🐴 💐🐴 💐🐴 💐🐴 🥕🐴❤️
現役競走馬/競技馬は、広々した牧場で他の馬と自由に交流する機会もなく、言葉の通じない人間たちとの付き合いの中で、少し変則的な「社会性」を身につけていくように思います。
ヒト社会にそこそこ適応できる仔もいればできない仔も、そして、実は全然合わないんだけれどもすごく無理して合わせようとしている仔もいます。
不安で心細くて誰かに頼りたい馬が真っ先に頼りにするのは厩務員さん。
競技会やレースを精一杯やり終えてまっしぐらに帰って行きたいのは、厩務員さんが寝床とゴハンをつくってヨシヨシがんばったな🤗と誉めてくれる厩舎。
人を信頼する馬になるかどうかは、厩務員さんとの日頃の人馬関係にかかっていると言っても過言ではありません。馬から見て信頼格付けの高い厩務員さんは、そばにいてもらうだけでも安心できるので、担当馬のストレスを最小限に抑えて心身の回復力を強化してくださいます。
T.Kさんが心の友と思っておられる相手もまた、馬思いの人々が持つ「癒しの力」に支えられて生きているのです。☺️