サラブレッドの応援歌「馬歌」を届ける、競走馬とホースマンの応援隊長 by ブルーノ・ユウキさん
「withuma.」vol.57 ブルーノ・ユウキさん
Profile
お名前:ブルーノ・ユウキさん
年齢:31歳
居住地:東京都
Twitter:@bruno_yuuki
Instagram:bruno_yuuki
第57回は、「馬歌」シンガーとして音楽活動をするほか、競馬や馬産地に焦点を当てたコンテンツ制作をされているブルーノ・ユウキさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
ブルーノ・ユウキさんの「withuma.」
写真:本人提供
フリーの音楽クリエイター/馬歌シンガーで、ハンチカ音楽教室の代表を務めています。
「馬歌」とは競走馬の応援歌のことで、自身のYoutube公式チャンネルにて公開しているほか、ライブ活動も行っており、東京の他、札幌や馬産地である新ひだか町静内でも開催しています。
また、競走馬の生産・育成牧場の紹介、新規牧場の密着等、馬産地の今を公開し、競馬の原点である馬産地の方々と交流させていただいています。
活動内容を一言で表すと、「競走馬とホースマンの応援隊長」ですね。
音楽クリエイターとして活動していた2020年、コロナの影響で作曲他、様々なお仕事が激減してしまい、職である音楽と大好きな競馬を組み合わせて何かできないかと考え、「馬歌」の制作を開始しました。
活動において大切にしていることですが、一つは、"馬が主役"であることを忘れないこと。
もう一つは、自らが"馬産地の人"にならないよう心がけています。
ここ数年、たくさんのホースマンと交流をさせていただいていますが、あくまでも自分は競馬ファンの一人であるということを忘れないようにしています。
馬産地の人間でないからこそ、発信できることがあるのではないかと考えているからです。
写真:本人提供
夢は競馬場で「馬歌」を歌うことです。
「馬歌」を聞いていただき、その馬を知っている方にはもちろん、知らない方にも『こんな馬がいるのか』と関心を持ってもらえるようになりたいです。
そして、活動を継続すること。
馬産地でのライブもですし、「馬歌」を作り続けていきたい。
そのことが少しでも競馬会や、現役馬、引退馬、ホースマンのためになれば幸せです。
私が「馬歌」を初めて聞いたのは、Youtubeで偶然行き着いた『オジュウチョウサンの歌』でした。
こういった歌は他に類を見ませんので、とても新鮮な気持ちで聴いたことを覚えております。
その後しばらくして、横浜DeNAベイスターズの監督で馬主の三浦大輔氏との対談動画がYoutubeのオススメ動画に表示され、歌以外にも様々な形で競馬に関わっておられるのだと知りました。
活動で大切にしていることの中で、「"馬産地の人"にならないこと」と挙げていただきましたが、このバランス感覚を大切にすることで、正しい情報を正しい形で伝えることができるのではないかと感じました。
ブルーノ・ユウキさんの「Loveuma.」
写真:本人提供
馬の魅力を感じる場面は沢山あります。
競馬場で血眼になって走る姿を見て、自分も懸命に生きてみようと背中を押されること。
引退後、牧場に帰った馬の優しい目を見て、癒されることもあれば、生まれたばかりの"とねっこ"と触れ合って心が若返ることもあります。
写真:本人提供
先日、妻と共にホースセラピーを体験できる牧場に足を運びました。
その時気が付いたのは、馬は人を"見透かして"いることです。
「何もしないからおいで」
そのように心から思っていても、はじめは顔さえ向けてくれませんでした。
すると牧場の方から、「馬を挟んで反対側にいる奥さまに向かって『愛しているよー!』と叫んでごらん、本気で。」という、この世で一番受け入れがたいアドバイスがありました。
恥ずかしさのあまり、「来なきゃよかった」と何度も脳内再生される中、思い切って叫んでみました。
すると、ずっとそっぽを向いていた馬がゆっくり私に近づいてきます。
隣まで来て、終いには肩に頬を擦り付けてきました。
牧場の方曰く、「馬はあなたがどういう人間かわからない。それは、あなたがいろんなものに覆われているから。照れたり、悲しくなったり、喜んだり、怒ったり、本当のあなたになったときに、初めて馬はあなたを理解して受け入れてくれるんだよ。」とのこと。
人間らしくなれば、心が通じる。
これは馬だけでなく、人間同士のコミュニケーションにも通づる部分があるのではないかと考えるきっかけになりました。
『かわいい』『癒される』、そういう言葉だけでは表現できない魅力が馬にはあるし、ありのままの自分にだって魅力があるということを馬は気づかせてくれます。
写真:本人提供
お気に入りの馬は、パンサラッサです。
制作した「パンサラッサの歌」が、矢作芳人調教師や厩舎関係者の皆様へ届いたことがきっかけとなり、矢作先生関連のパーティーなどでも歌わせていただく機会をいただきました。
そしてパンサラッサ自身も、ドバイターフやサウジカップで優勝し、夢と感動を与えてくれました。
彼の存在をひとことで表すと「世界と僕をつないでくれた馬」です。
おっしゃる通り、馬の魅力は外見的な部分だけではなく、その存在を通して人の内面に働きかける部分にもあると感じます。
ホースセラピーでの出来事も、ブルーノ・ユウキさんにとって新たな視点を与えてくれる貴重なご経験をされたことでしょうし、"愛の叫び"を受けて、奥さまもきっと嬉しい気持ちになったのではないかと想像いたします。
私も馬を通じて沢山の学びを貰い、多くの素敵な方々と繋がることでき、人生を豊かにしてもらいました。
馬には「人を幸せにする力」があると感じます。
引退馬問題について
写真:本人提供
どこかの団体や個人に寄付ができているわけではありません。
ただ、引退馬支援にはたくさんの形があると最近では思うようになりました。
例えば、乗馬クラブや前述のホースセラピーを体験するのも一つの形だと考えます。
色々な"しがらみ"はありますが、今まで作った「馬歌」を各配信サービスで聴けるようにしたいと考えています。
その収益の一部を引退馬や、そこに関わるホースマンのために使えれば、僕だけではなく、聴いてくれた人も支援できることになる。
一人では力不足なので、ファンの方も巻き込んで支援できるのが理想です。
勉強不足なので今は様々な方法を模索しているところです。
引退馬問題の解決には、「知ろうとする」ことが第一歩なのではないかと考えます。
少し話は反れますが、私の妻はドッグサロンを経営しています。
「過ごし方にこだわるサロン」というテーマを掲げて、それぞれの犬に最適な施術を日々考え、一頭と過ごす時間をより長くし、犬と向き合っているドッグサロンです。
妻がよく口にする言葉があります。
「かわいそうとか、楽しそうっていうのは主語が人間なんだよね。」
つまり、本当の犬の気持ちを考えられているのかということ。
人から見ると「楽しそう」なのであって、犬がそれを本当に楽しいと感じているかなんてわからない。
なんとなくこうだと植え付けられていたマニュアルが、実は犬のためになっていないことがたくさんあるようなのです。
そして、それは馬にも当てはまる気がしています。
写真:本人提供
最初から「知る」ことが難しいなら、「知ろうとする」ことから。
馬のためにできることを考えてみる。
ただ、「苦しいトレーニングをして競走させるのは馬のためになるのか?」と問われたら、今の私は答えられる言葉を持ち合わせていません。
これから勉強していく中で、その問いの答えを、正解でなくともいくつか用意できるようになりたいです。
ただ、少なくとも懸命に走る馬に僕は救われてきましたし、競馬を通してたくさんの出会いと学びがあり、人生がとても豊かになりました。
そう感じている同志もたくさんいるはずです。
おっしゃる通り、馬に活躍の場を提供するという意味で、乗馬やホースセラピーを通して馬と触れ合うことも、立派な引退馬支援だと言えます。
そして、今の日本では馬が身近にいない環境の方が多いですから、Youtubeを通して馬の魅力を伝えられていることも、馬が好きな人を増やしてニーズを高めるという意味で、引退馬支援と言えるのではないかと考えます。
また、奥さまのお言葉にも大変共感するところがございました。
馬は人間の言葉を発さないので、どうしても人間の尺度で考えてしまうことが多いです。
馬にとっての幸せとは何なのか、どうすれば彼らにハッピーを提供できるか、そういった視点を大切にしていきたいと感じました。
ブルーノ・ユウキさんのYoutubeチャンネルでは、「馬歌」の配信をはじめ、育成牧場への密着など馬産地にフォーカスしたコンテンツを制作されております。
ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
今回は、「馬歌」シンガーとして音楽活動をするほか、競馬や馬産地に焦点を当てたコンテンツ制作をされているブルーノ・ユウキさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:ブルーノ・ユウキさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan
>「苦しいトレーニングをして競走させるのは馬のためになるのか?」
馬に聞いたらゼッタイ「ならない❗️」と答えると思います。賭けてもいい。
ステゴ一族なんかひ孫の代まで全員総立ちでシュプレヒコールを連呼(「ならないゾ✊💢❗️」「ならないゾ✊💢❗️」)すると思います。
彼らの理想の暮らしは、一年中おいしい青草の茂る気候温暖な広野でアブにもクマにも襲われずに素っ裸で駆け回って食っちゃ寝すること。
ヒトも羨む安逸志向の生き物。それが🐴。サラブレッドも例外ではありません。
でもね....と、私は思うのです。
でもね。君たちは「プロ」なんだよ、と。
デズモンド・モリスが言うように、馬は美しく気高い生き物でありながら、人の必要を満たすためにあらゆることに耐えながら何千年も生きてきました。耐える力があるからです。
サラブレッドは「競走」という専門職に従事することで、人類と共生する確かな権利を獲得した「プロフェッショナル」だと思っています。野生馬とはまた別の意味で過酷な人間社会という棲息環境に適応し、厳しい淘汰を経てより速く走ることで生存競争をしぶとく勝ち抜いてきたプロフェッショナル。
職務遂行中に事故に遭うかもしれない。
ひょっとすると命さえ落とすかもしれない。
育種(品種改良)の対象生物の宿命として、いつかは淘汰されるかもしれない。
だけど、そんな運命も引っくるめて「プロ」なんだ。人間にできるのは、プロが遭遇するかもしれない無用なリスクを極力未然に防ぐ努力をすることだけ。
そして、馬たちの心と体の限界を知り、それを超える重荷を負わせないこと。「ここまではできる。でも、ここからは無理」という馬のサインを見逃さないように、常に観察力と直感を研ぎ澄ます努力を怠ってはいけないと思います。
個人的な希望ですが、私は引退競走馬全頭に対して、競走登録抹消後に一定の慰労期間を設けてほしいと思っています。セカンドキャリアに進む前の待機期間を兼ねて。
そして諸々の事情で次のステージに進めない馬たちには、いっそうQOLの高い、ストレスフリーの充実した生活環境を用意してあげたい。たとえ1年でも、いやできれば最低2年間は、馬を知る人たちの手厚いケアを受けて心穏やかに過ごしてもらいたい。
淘汰される前の命に最大限の敬意を払うことは、私たちにできる最も小さなつぐないだと思っています。
冒頭の問いかけに戻ると、矛盾と葛藤の塊であるニンゲンとしての自分の答は“Yes and no.”
サラブレッドのトレーニングやレースが馬には不本意な(できればやりたくない)練習や試合みたいなものだったとしても、じゃあやらなくていいよと言って飼育放棄して野に放ったら間違いなく「虐待」になるからです。
人と競走馬の関係は絶えず見直してより良いものにしていきたい。
務めを終えたプロフェッショナルたちには限りない感謝と愛情で報いたい。
一頭でも多くの引退馬に穏やかな余生を全うしてもらうために、これからもできることを続けて行こうと思っています。
コメントはお歌を聴いてから、と思ってYouTubeの馬歌サイトへ。。。。気がつけば夜が明けていました。
和製、いや馬製(?)ブルーノ・マーズは「才能アリ」ですね。とても魅力的な歌声だと思います。
有名馬にこだわらず、アトランダムに選曲して聴きました。
『リーゼントロックの歌』(矢作先生、踊ると思う🕺🎶)で俄然目が覚めて『ヨカヨカの歌』でさらに高揚し、『カフェファラオの歌』に感動してなかなかアドレナリン・レベルが下がらず、『カレンブーケドールの歌 全力応援』(私も応援していた!)などは軽やかで楽しい曲なのに、なぜか涙なしには聴けませんでした。
しみじみと耳を傾けたのは『アリシアンの歌』。歌詞が素敵です。
「夢なんて無くたっていい 僕らが見つけてあげるから」というフレーズは、オーナーさんたちが今の彼女に一番贈りたい言葉かもしれません。
一休みしたら、次はいよいよ世界のパンくんの歌を聴かせていただきます。
私もパンサラッサを尊敬するファンの一人です。(8月のサセックスS、もし出るのなら壮行歌を作ってあげてほしい)
これまで、馬への「好き❤️」を絵画や写真や文章で表現する人はたくさん見てきましたが、ブルーノ・ユウキさんのようなアーティストは初めてです。
「この一頭」に捧げる世界でただ一つの歌。最高の愛情表現だと思います。