岩手の怪物・トウケイニセイを通じて知った、引退馬支援の"小さな一歩"の大切さ by YARO
「withuma.」vol.55 YAROさん
Profile
お名前:YAROさん
年齢:24歳
居住地:岩手県
第55回は、岩手県在住の一口馬主、YAROさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
YAROさんの「withuma.」
写真:本人提供
私は現在、一競馬ファン、そしていわゆる一口馬主として競馬や馬との関わりを持っています。
幼少の頃より家のテレビで競馬中継が流れていたり、父に競馬場へ連れられたりしているうちに自然と競馬への興味が湧いていました。
そして小学生の時、ディープインパクトの引退レース、有馬記念を見て凄く感動し、本格的に競馬にハマっていきました。
写真:本人提供
その後も競馬場へ足を運んだり、テレビ中継を見たりしている中で、馬と騎手だけでなく、その1頭の馬に関わるホースマンのドラマに惹かれ、競馬の奥深さを知りました。
それと時期を同じくして、とある有名人の方が「一口馬主」という言葉を口にしているのを聞きました。
気になって調べてみると、システムや仕組み的に自分でも1頭の馬により深く関わることができそうなことが分かりました。
その時から「将来は一口クラブで出資する」と思うようになり、20歳を迎えた4年前よりクラブの会員になり競走馬に出資しています。
私が馬と関わる上で大切にしていることは、感謝と尊敬の気持ちを忘れないことです。
馬券を買ってレースを見ている時、また牧場などで直接ふれあっている時など、言葉に出さずとも、そういう気持ちを持つようにしています。
と言うよりも、自分の中では意識せずとも、自然とそのような気持ちに馬がさせてくれるのだと思います。
改めて馬には不思議な力があるものだなと思わされました。
岩手県にお住まいで、少年期から岩手競馬へお父様と共に足を運ばれていたのですね。
競馬のドラマを体感する上で、一口馬主という関わり方はとても良いですよね。
私も昨年、お世話になっている牧場と生産馬を応援する気持ちで2頭に出資しましたが、その馬の関係者として競馬に関わることで、応援する際の身の入り方や、勝ったとき喜びが格段に違う事に気が付きました。
感謝と尊敬、とても大切なことだと思います。
馬を通して、その馬に関わってくれている人たちを感じ、自然と「ありがとう」の気持ちが沸き上がりますよね。
YAROさんの「Loveuma.」
写真:本人提供
私が思う「馬の魅力」は、ふれ合った時に感じる温もりだと思います。
日常的に馬と関わっている訳ではないので、たまに時間ができたときに牧場に行って馬を見たりしているのですが、その際に直接撫でたり間近で見たりしていると、自分の気持ちが優しく穏やかになっていく感覚を覚えるのです。
また、そのときの様子を友人が撮影した写真で見ると、曇りのない心からの笑顔になっていることに気づきました。
そういった表情や気持ちを引き出しでくれるところが馬の魅力であると感じます。
馬に関連するお気に入りの場所は、馬っこパークいわてです。
引退したサラブレッドや乗用馬、"チャグチャグ馬コ"に出る重種馬やポニーなど、様々な馬を間近で見ることが出来るので、時間が出来たときには足を運んでいました。
自分が小学生の頃は岩手競馬が誇る怪物、トウケイニセイが終生飼育されており、現役当時を知る父と共に見に通っていました。
トウケイニセイは、ここで2012年に生涯を終えましたが、今も馬っこパークいわてには優勝トロフィーや、トウケイニセイの心臓が展示されており、それらを見て思いを馳せることが出来ます。
写真:本人提供
私のお気に入りの馬は、出資馬でもあるムーンティアーズです。
「一口馬主になって勝つ」ということが夢だった私をクラブに入会させてくれ、さらに一生に一度しかチャンスがない「出資馬初出走初勝利」という形で叶えてくれました。
デビューまで決して順調と言える歩みではなかったものの、デビュー戦では後に重賞を2勝する馬にも勝ち、本当に運命的な出会いだったと感じています。
デビュー前に注目馬として専門誌に掲載されたり、クラブのサイトで更新がある度に一喜一憂したり、一度頓挫した後は勝てずに引退しましたが、様々な経験をさせてくれたムーンティアーズには今も感謝しかありません。
現在は北海道で繁殖牝馬として過ごしているそうですが、これからも元気でいて欲しいです。
おっしゃる通り、馬に触れていると優しい気持ちになれますよね。
私も馬とふれあっている時の写真を見ると、自分でも可笑しいくらいの笑顔になっています。
ムーンティアーズ号はYAROさんにとって本当に特別な馬なのですね。
新馬勝ちを収めるも、わずか5戦での引退。
どうしてもハートが強くない牝馬は、ストレスを抱えて走れなくなってしまうことがありますよね。
是非これからデビューする子供たちが、夢の続きを歩んで行ってほしいですね。
トウケイニセイ号は南部杯を2連覇するなど、通算43戦39勝を誇った岩手の怪物。
父は通算53戦22勝のトウケイホープで、競走馬として登録された僅か4頭の産駒から誕生した名馬です。
馬っこパークいわて様は、『Loveuma.』のフライヤーも設置いただいている「Supporters」の一員です。
ぜひ足を運んでいただき、トウケイニセイの遺した歴史を感じてみてください。
引退馬問題について
写真:本人提供
私は、興味を持っている人が少しずつ、小さなことでも出来ることを実行に移すことが必要であると考えます。
馬っこパークでトウケイニセイを見たときに、引退した馬は皆このように余生を送るのだと思っていましたが、現実はそうでないことが分かりました。
トウケイニセイに関しても、オーナーの方が東日本大震災で被災され、終生飼育が困難な状況に陥り、現役時代に関わった有志の方々の手により「トウケイニセイ基金」が設立されて、全国から支援があって生涯を全うできたとのことでした。
私も一競馬ファンとして、引退馬支援は必要なことだと思いながらも、何も出来ずにいる状況が続いていました。
そんなときに、ふとスーパーマーケットで「八幡平マッシュルーム」という商品を目にしました。
岩手県八幡平市にあるジオファームで作られているマッシュルームで、馬のふんから作られる堆肥で育てているということを知りました。
そして、この商品を買うことも引退馬支援に繋がるということが分かりました。
非常に小さな一歩でしたが、自分も引退馬支援に向けて踏み出すことが出来たのかなと思います。
これ程の小さなことでも実行する人が増えれば、引退馬問題の解決に確実に近づいていくと思うので、どんなに些細なことでも、興味関心を持った人が実際に行動することが必要であると考えます。
トウケイニセイの安寧な余生には、そのような背景があったのですね。
2009年から馬っこパークいわて様に移ったようで、震災を乗り越え、25歳で老衰により逝去。
最後の1年は基金によって余生を送ることが出来たとのことで、いかにトウケイニセイに深く魅了された人が多かったかを物語っていますね。
仰るとおり、出来ることから始めることはとても大切だと感じます。
マッシュルーム購入を通じた引退馬支援、小さな一歩と仰っていただいていますが、沢山の人が行動すれば、それは大きな一歩につながります。
ジオファーム八幡平さんは、『Loveuma.』を運営する株式会社Creem Panが制作したドキュメンタリー映画『今日もどこかで馬は生まれる』にも登場します。
現在は重賞2勝を挙げたザダル(TCCさんが所有)も暮らしているようです。
映画の中でジオファーム八幡平さんの取組みについても知ることができますので、是非ご覧ください。
今回は、岩手県在住の一口馬主、YAROさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
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協力:YAROさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan
ムーンティアーズはケンダルジャン(Kendargent)産駒の美人さんですね。🥰
ルアーヴル産駒のプールヴィルを応援していましたが、母父がケンダルジャンだったなと思い出しました。
二頭ともこれからはお母さんとして、貴重なフランス血統を先々まで残してほしいと思います。
>トウケイニセイも心臓が展示されており
馬の心臓といえばセクレタリアトの破格の22ポンド(約10kg)なんか思い浮かぶのですが、普通は4kgほどだそうで。
トウケイニセイのすごい戦歴✨を見ても、展示されるくらい強い心臓💪💗の持ち主だったのでしょうね。岩大に知人がいるので、いつか馬っこパークいわてにも寄って、拝んで来たいです。
>興味を持っている人が少しずつ、小さなことでも出来ることを実行に移す
ジオパーク八幡平のマッシュルーム、とても美味しく、いろいろなお料理に使えますね。
叔母の愛犬たち(ゴールデンリトリーバーと柴犬)もこれを気に入っていて、特にゴールデンの方が、生でも軽く茹でても喜んで食べるとか。
休日に馬柄エプロンをかけてマッシュルーム料理をつくるも良し。
ワードローブやデスク周りに引退馬支援グッズを加えるのも良し。
日常の衣食住を通じて無理なく「出来ることから行動に移す」のが正解だと思います!✌️😊
>改めて馬には不思議な力があるものだなと思わされました。
この一ヶ月間でそれを強く実感しています。
五月の多度祭の上げ馬騒動で鬼のように殺気立ち、ある意味で人間の愚かさ身勝手さに絶望していたような人たちが、先日行われた岩手の〈チャグチャグ馬こ〉を観て、憑き物が落ちたように「人」への信頼を取り戻している。
どちらも、「馬」に対する強い感情から引き起こされた現象です。「馬と人」の関わり方次第で、つまり馬と人がどのように「生き合って」いるかを比較評価することで、対極の反応が生まれるんですね。。。。
性質温順な重種馬だからということもありますが、チャグチャグのお馬たちの目は、終始本当に穏やかでした。
最初は「装束が300kgぐらいあるんじゃないの~?☹️」とイジワルなことも考えたのですが、調べてみると60kg程度だとか。(『中川政七商店の読みもの』より)
このくらいなら、子供さんを上にトッピングしたって重種馬には屁のカッパです❗️
きらびやかに装ったお馬たちは、脅されることも叩かれることもなく、人間に頼まれたお役目を「うん、いいよ」と気持ちよく引き受けてくれているような感じで、頼んだ人間の方も祭馬に無理をさせないように気を遣っているのが随所で伝わってきました。
神社の前に整列して出発を待つ間、お馬が退屈しないように(?)鼻面を撫でながら何やら話しかけてあげている人。途中で歩き疲れた仔馬が道路にパタンと寝転がってしまうと、直ちに獣医さんと搬送用リヤカーが手配され、待っている間も「仔っこ」が暑くないようにと日陰を作ってあげている人。
「ホッコリ」とはこのお祭のためにある言葉ではないかと思いました。
人の心に、時には自分でも耐えがたいほどの怒りや正義感の大きな波を起こすのも馬。それを鎮めるのもまた馬。
人を動かす「不思議な力」がある生き物だなと思わずにはいられません。