ホースライダーのもう一つの顔は"馬の体重計職人"!? by ポール・ウィリアムソンさん
「withuma.」vol.50 ポール・ウィリアムソンさん
Profile
お名前:ポール・ウィリアムソンさん
ご年齢:53歳
居住地:北海道
Twitter: @goods_uma
第50回は、BTCで調教に乗りながら、馬の体重計を製造しているポール・ウィリアムソンさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
ポール・ウィリアムソンさんの「withuma.」
競走馬に携わる仕事をしており、1日の中では大きく分けて2つの仕事があります。
まず朝は、フリーライダーとして軽種馬育成調教センター(BTC)でサラブレッドに騎乗しています。 そして午後は、合同会社ジャパン・エクァイン・グッズで、“馬の体重計”を作っています。
写真:本人提供
体重計を作り始めたきっかけは、外国輸入の体重計の品質が低く、自分の手でもっとレベルアップ出来ると思ったからでした。
レースに向かう際も、それ以外の時でも、馬の体重を監視・管理することは非常に大切です。
写真:本人提供
体重計づくりにおいて大切にしていることは、自分でしっかりとクオリティをコントロールできるようにすることです。
今後もどんどんと、新しい、使いやすい体重計を作っていきたいです。
2つの側面から馬に携わる“技術者”、とても興味深いステータスです。
私が生産牧場で研修を受けていた際も、体重のチェックは毎日欠かさず行われていました。
馬の体重は、その後の骨疾患など、様々な部分に大きく関係してきます。
特に当歳(0歳)馬は様々なリスクに面しており、体重管理が徹底されていた印象があります。
よって、馬の体重計は、馬を飼養管理する人々にとって必要不可欠な設備であり、使いやすさや精密さが求められるものであると感じています。
ご存知でない方に向けて補足いたしますと、BTCは軽種馬の育成・調教を行う施設であると共に、競走馬を育てる騎乗技術者(乗り役さんと呼ばれることもあります)の養成などを行う施設でもあります。
研修修了者の就職率は毎年100%で、ホースマンを目指す若者が、日々鍛錬を積んでおられます。
ポール・ウィリアムソンさんの「Loveuma.」
写真:本人提供
私のお気に入りの馬は、インティです。
競馬に行く前、BTCで私が乗っていました。
彼の好きなところは、静かで乗りやすいところです。
インティは破竹の7連勝で2019年のフェブラリーS(G1)を制した競走馬ですね。
インティのデビュー戦は、新馬戦が終わった3歳の4月とかなり遅めであり、8月に2勝目を挙げた後も9か月の休養を挟むなど、体質の弱い競走馬であった印象です。
化骨が遅く、デビュー前からBTC内の診療所で化骨検査をしながらの調教を行っていたようです。
BTCで長い時間を掛けて調教を積んでいたことは存じておりましたが、ポールさんが乗っておられたとは驚きました。
※化骨…骨組織の生成を指す言葉で、強い調教ができるかどうかは、化骨の進み具合で判断される。化骨が不十分のまま強い調教を重ねると、骨端症や骨膜炎などの骨疾患を引き起こすリスクがあるとされている。
引退馬問題について
写真:本人提供
サラブレッドは気性が荒く、扱いにくいという印象があると思います。
しかし、競走馬に与えるアスリート専用の飼料から通常の飼料に変わることや、競馬で受けるストレスが薄れてくると、サラブレッドは静かで扱いやすい動物であることを理解できます。
競走引退後の活躍の場がもっと増えていくといいと思っています。
馬の飼料と気性の関連性がとても気になりました。
「ウマに濃厚飼料を多給すると、ウマが “うるさくなる”というのは飼養管理の現場でよく耳にする話ですが、多くの研究で、濃厚飼料の多給によりウマの行動が過敏になることが報告されています。
(中略)最近の研究では、濃厚飼料の多給に伴う腸内細菌の変動が、腸から脳へのシグナルに影響し、そのことがウマを情緒的に過敏にさせるのではないかと考察されます。 このことが証明されるためには、まだまだ研究が必要ですが、もし真実であれば、腸の健康はウマの体だけではなく精神の健康にも重要ということになるでしょう。」
といった記述が見受けられます。
「サラブレッドは危険な動物だ」と、トレセンで働く方などから度々耳にするので、「私には扱えないかも」と足踏みしてしまう方も多いのではないかと思います。
ただ、サラブレッドを取り巻く環境が引退後に変化することで、比較的扱いやすくなるというお話は、引退馬を養いたいと考える人にとっても前向きな情報だと感じました。
今回の記事で、昨年6月のLoveuma.プレオープンと同時にスタートした『Withuma.』は、節目の第50回を迎えることができました。 いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
今後も『Withuma.』を通して、馬事産業・文化に携わる方をご紹介することで、微力ながら引退馬問題前進の一助になりたいと考えております。 どうぞ引き続き『Withuma.』をよろしくお願い申し上げます。
今回は、BTCで調教に乗りながら、馬の体重計を製造しているポール・ウィリアムソンさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:ポール・ウィリアムソンさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan
JRA調教師の鈴木伸尋先生の養子(?)のポルックスくんも、引退後は嘘のように穏やかな性格になったとか。🐴💥 → 🐴🍀 😮
現役時代のストレスと緊張から解放されたのが大きいでしょうが、競走馬が「嘘のように」おとなしくなる時は、食べ物の変化も確かに一要因だと思います。
メイショウドトウが宝塚記念を勝った時のパドック映像を見ると、ルンルン🎶と弾むように(ちょっとハイになった感じで)周回していて、いかにも「勝負メシ」の効果あり💪という感じ。
しかし馬は元々草食動物だし、引退後は胃潰瘍を治しながら濃厚飼料を減らして粗飼料中心に切り替えることで、疝痛のリスクも減少し、無駄にイライラ、カッカすることもなくなり、徐々に本来の温順な性質を回復できるようになると思います。
(たまに回復困難なケースもある。凶暴とまでは言えないが、毎日牧柵を2、3本壊さないと引退生活が楽しくないという生涯破壊王とか....😓)
馬体重管理のために、競走馬のシェフ(厩務員さん)はどんな工夫しておられるのでしょう?
馬の入厩から引退までの飼付メニューを記録した「うまのごはん」のレシピブックがあれば、買って読んでみたい気がします。牧場別・厩舎別シリーズで出ればなお嬉しい。😋
🥕🥗🍎🍏🌽🥒🍉🍌🌱🌱🌱🌱🌱
デジタル体重計を改良するのに、半導体やアルミなどの価格高騰は痛いですよね。
でも需要はコンスタントにあるものなので、より良い製品ができれば喜ばれるはず。
生産/育成牧場では、体重計に加えて馬専用の体組成計なんかもほしいんじゃないでしょうか?
『JRA育成馬日誌』のアーカイブによれば、1歳馬を〈昼夜放牧組〉と〈昼だけ放牧組〉に分けて比較飼育する際、脂肪の蓄積度合いも調べるとか。
お尻にプローべを当ててエコーで脂肪の厚さを測定することで、全身の体脂肪率や除脂肪体重を「推定」するのだそうです。(2011年当時)
昼夜放牧組は寒さから身を守るため、おいそれと脂肪を手ばなさないだろうと予測していたら、ウォーキングマシンで強制的に運動もさせる昼放牧組よりはペースが遅いものの、ゆるゆると体脂肪率が低下していく。
なぜ? どうして? 餌が足りず脂肪を燃やしてエネルギーを補ったから? 重要臓器を守るために体表でなく内臓に脂肪を集めたから?
内臓脂肪のつき具合は解剖しなきゃわからない。ああ、馬にもヒト用の体組成計みたいなものがあったらなぁ。。。(オリジナルはもっと格調高い文章)
というわけで、使いやすさ重視のウィリアムソン式馬用体組成計が開発され、手頃な価格で商品化されればいいなと思います。
CMには(絶対かわいいに決まっている)インティ産駒を起用しては?
ぜひご検討ください。✌️🙂