ウイニングチケットとスズカフェニックスの穏やかな日常を守るお仕事 by 紺野愛さん
「withuma.」vol.33 紺野愛さん
Profile
お名前:紺野愛さん
ご年齢:34歳
居住地:北海道
第33回は、うらかわ優駿ビレッジAERUで乗馬インストラクターをされている女性です!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
紺野愛さんの「withuma.」
2018年の12月から、うらかわ優駿ビレッジAERUで乗馬のインストラクターとして働いています。
ここに来る前は、競走馬の育成牧場にいました。
牧場では自分と馬が向き合う時間を大切にしていましたが、次第に馬を通して人と繋がりたいと思うようになり、インストラクターを目指しました。
特に、雄大な自然の中で、一日一日の出会いや思い出を一緒に感じる事ができるトレッキングに憧れていたことが、トレッキングをメインに運営しているAERUで働きたいと思ったキッカケでもありました。
現在AERUには乗用馬が9頭います。
年齢も大きさも様々なので、それぞれ馬たちが担当している仕事の内容はバラバラです。
例えば、高齢の馬はのんびり歩くようなお散歩コースをメインに担当してもらい、力自慢の馬には丘を登ったり草原を走るようなエネルギッシュなコースを担ってもらっています。
そうして仕事内容をみんなで分配してもらいながら、誰か1頭になるべく負担が偏らないように心がけています。
馬たちも大事なスタッフなので、みんなで運営していくという気持ちを大切にしています。
現状は、馬たちそれぞれの体力や個性にあった仕事を調整しているので、なかなか利用して下さる方々の希望にあったコースを案内できない事が多いです。
今後の目標としては、若い馬の経験値をどんどん上げて、全体の底上げを目指していきたいです。
本当に嬉しい事に「AERUのトレッキングを楽しみにしています!」という声をたくさんいただいているので、期待に応えられるように目標を持って、人馬ともにスキルアップしていきたいです。
「馬を通して人と繋がる」、「トレッキング」、求めていた要素がすべて達成されているAERUは、紺野さんにとって、まさにユートピアですね!
それぞれの馬に、それぞれの適した役割があって、スタッフの皆さんも一致団結で支えていく。とても素敵なカタチを実現されていると感じました。
AERUさんには、昨年9月に初めて宿泊させていただいたのですが、ホテルと馬がセットなんて場所は初めてだったので、とにかく新鮮で、とても楽しかったです!
夜は満天の星空、朝は馬を見ながら散歩、そして日中はトレッキングも楽しめるなんて、自然と馬が好きな私にとっても"理想郷”の様です!
その際に乗馬課さんへもご挨拶させていただいたことで、隔週連載の『AERUで会える!』が実現しました。素敵なご縁をいただき感謝しております。
紺野愛さんの「Loveuma」
以前働いていた牧場では、若い馬の柔軟に伸びる背中に乗りながら、少しずつ成長していく彼らの姿を感じる日々がとても楽しかったです。
ですが、その一方で、圧倒的なパワーに私自身なす術がなく、不安や恐怖を感じる事もたくさんありました。
馬は私の心を映し出しながら、全身でエネルギーを表現していましたね。
あの頃、私は、馬を通して自分とも向き合うとても濃い経験をさせてもらったと感じています。
そして、それは職場を変えた現在でも、良い糧となっています。
また、AERUへ来てからも、お客さまという存在を通して、これまでと違った馬の力に日々驚かされています。
例えば、初めて馬に跨った方は、「高い!揺れる!」と最初は強張っていても、だんだんと慣れて笑顔に変わっていきます。
経験者の方でも、馬の背に揺られながら大自然の中へ入れば、本当に楽しそうな、幸せそうな表情を見せてくれます。
緊張がほどけていく瞬間や、「何度来ても最高!」と喜んでくれるリピーターのお客さまの笑顔を見ていると、いろんな人のいろんな表情を引き出す馬の力は本当に素晴らしいなと、日々実感しています。
牧場での経験と現在のAERUで、私は自分自身を見つめる時間と人との出会いを馬から与えてもらいました。
これも馬の持つ魅力の一つだと思っています。
私のお気に入りの馬は、「フィエルテ」です。
私は大学で馬術に入部したのをきっかけに乗馬を知ったのですが、約3年間パートナーとして力を貸してくれたのがフィエルテでした。
私の練習に根気よく付き合ってくれて、フィエルテは私の素晴らしい先生でした。
彼に”馬”の面白さを教えてもらったからこそ、「北海道で馬の仕事がしたい」と心から思えました。
今の私がいるのも彼のおかげですし、初心を思い出させてくれる、ずっと大事な存在です。
以前は育成牧場へおられたとのことで、お話から察するに乗り役さんをされていたのでしょうか?
withuma vol.31の那須野マコさんも、「馬は人の心を写し出す鏡」だと仰っていたように、馬も当時の紺野さんの不安や恐怖を感じ取って、取り乱してしまったのかもしれませんね。
AERUに来てから、「お客様を通して馬の新たな力を知られた」というのは、とても興味深いお話でした。
先述の様に、「馬を通して人と繋がりたい」と思っておられた紺野さんが、人を通して馬の新しい魅力を発見された。
これは、紺野さんがAERUへ来られたことで、更に感度の高いアンテナを手に入れられた事を物語っていると感じました。
同じ馬でも、環境が変われば見え方もブラッシュアップされる。
私にとっても、何か今後のヒントになりそうな気がします!
そして、フィエルテ号との関係性も素敵だと感じました。
フィエルテ(fierte)は、フランス語で「誇り」という意味だそうです。
今でも紺野さんの原点として、誇りに思える"先生”なのだと伝わってきました。
引退馬問題について
AERUには現在、ウイニングチケットとスズカフェニックスという2頭の元競走馬がいます。
”引退馬問題を解決するために必要なこと”と考えると、とても大きな事に感じて、私はまだまだ力になれていないのですが、そのような中でも私が日々大切にしているのは、「今日明日、確実に私ができる事を続ける」です。
単純な事ですが、朝、チケさまとスズカが元気にご飯を完食する姿を確認して、いつもと同じ頃に放牧地へお連れして、またいつもと同じ頃にお迎えに行く。彼らが何事もなくのんびりと過ごす。
そんな穏やかな日常を毎日変わらずに送れるよう、環境を整えてサポートする事が、私の引退馬問題に向き合う第一歩だと思いながら仕事しています。
そして、そんな彼らの姿を、AERUに訪れたたくさんの方々に見ていただく事も、とても大切だと感じています。
もちろん競馬を引退した馬だけでなく、乗用馬として現在もAERUで働くすべての馬の頑張りが、訪れた皆さんに何か楽しい思い出となって、馬という存在を考えるきっかけに繋がれば、それもまたすごく嬉しいですね◎
チケゾーとスズカは、今や『AERUで会える』でもおなじみの看板馬ですよね!
「今日明日、確実に私ができることをする」、とても素晴らしいお考えだと思いました。
何事もそうですが、大それたことをいきなり飛び越えてやることは難しいですし、まずは今の自分にできることから始める。それだけでも確実に行動していますし、続ければ何かが変わると思います。
紺野さんのお話を伺って、今日も変わらない日常を送れていることに改めて感謝しました。
そしてそれは、紺野さんと馬たちの様に、周りで支えてくれる人たちがいるからこそ成り立っているものですから、周りの人たちにも改めて感謝ですね。
AERUさんのように、馬を身近に感じられて、馬を通して広い可能性を感じられるような特別な場所は貴重ですし、今後はもっとそういった施設が増えていってほしいです。
馬の魅力をたくさんの人に感じてもらって、みんなでいい世の中にできるといいなと思いました。
余談ですが、私がAERUさんの動画で一番好きなシーンは、チケゾ―さんが生牧草を見るや否や、雪の中をとっとこ跳ねながら嬉しそうに近づいてくる動画です!本当に心の癒しですね。(笑)
連載コンテンツ『AERUで会える!』はこちらから👇
うらかわ優駿ビレッジAERUはこちらをチェック👇
チケゾ―(ウイニングチケット)が嬉しそうに走ってくる動画の記事はこちら👇
今回は、うらかわ優駿ビレッジAERUで乗馬インストラクターをされている、紺野愛さんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:紺野愛さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan
こんにちは◎
アエルの紺野です。メッセージありがとうございました◎
悩みながら記事投稿して良かったです!
ぜひ乗馬にもいらしてくださいませ◎
ありがとうございました。
世界を見渡すと、馬の仕事には男女差の影響がほとんどないことがわかります。男性と女性が平等に従事して、性別に関係なく成果を上げることができる。
オリンピックでよく言われるように、馬術は男女の選手が同じゲームに出場して同じルールで競い合うことができる唯一の競技ですよね。競馬も然り。
現役競走馬の管理には確かに力わざが求められる場面もありますが、馬の世界全体を見れば、必ずしも男性社会である必要はない。男性が多いのは慣習でそうなっているだけ。
中央競馬に女性調教師さんの厩舎が誕生する日もそんなに遠くないでしょう。(強い牝馬が育ちそうです)
厩舎、トレセン、牧場、乗馬施設、ホースセラピー施設などでも、そこで働く(馬を担当する)女性の数が欧米なみに増えるといいなと思っています。
紺野さんは貴重な先駆者のお一人ですね。騎乗も厩務も含めて「馬の仕事」が「女性の仕事」として立派に成立すること、やりがいと満足を得られる職種であることを、日々証明してくださっています。
男女両方のスタッフが等しく馬の管理に携わることで、気配り目配りも行き届くようになりますね。
>馬たちも大事なスタッフなので、みんなで運営していくという気持ちを大切にしています
AERUは男女平等だけでなく人馬平等の職場だった! 素晴らしいです。
自分が引退競走馬だったら、サラブリトレーニング卒のピッカピカの乗用馬になって紺野さんのような上司のいるところに就職したいです。👩🏻💼✨ ←🐴💕
朝ごはんからお迎えまで紺野さんに大切にお世話され、人も羨む悠々自適の毎日を送る引退名馬たち。この記事を読んで「チケゾーになりたい」と思った人(♂)は少なくないはず。🤭
アエルさんは大好きな場所です。毎年チケゾーさん、スズカさんに会えるのを楽しみに伺います。アエルさんのお馬たちはみんな優しく生き生きとしています。紺野さんのようなステキなスタッフさんたちがそばにいてくれるおかげです。ことしもまたみんなに会えるのを楽しみにしています。いつも見学だけなので乗馬もしてみたいなぁと今回の記事を見て思いました。いつもお馬たちの傍で支えてくれてありがとうございます。