寒い冬にはたまらないお湯ジャブジャブタイム♨️🎥実は女子チームの関係性が透けて見えるんです…🐴👀
北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。
そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、
馬ときどき猫な日々を綴ります。
読者の方からのリクエストにお応えして、今回は女子チームの相関関係を中心にお伝えしたい。
ご存知の方もいるだろうが、まず女子チームのメンバー構成から。当牧場に来た順でもあり、強い順でもある。(年齢は満年齢ではなく年が明けたら年齢が加算される競馬界方式で)
キリシマノホシ 17歳
芦毛ちゃん(通称) 11歳
タッチノネガイ 21歳
タッチデュール 14歳
冬の放牧地の女子チーム
キリシマノホシ 女子チームを恐怖政治で統括するボス。
代表の川越がJRA厩務員時代に最後に勤務した厩舎で半年ほど担当した馬で、未勝利のままJRAの登録を抹消されて園田競馬場に転籍。10歳まで走り続け、188戦13勝の成績で引退。畜産業者に渡っていたが、たくさんの人の助けもあり運良く引き取ることができた。茨城県で繫養時代は、仕事の合間を縫ってほぼ毎日キリシマの世話を2人でしていたので、人との関係が密接となり、映画「今日もどこかで馬は生まれる」にもあったように、馬場で川越と一緒に駆け回ってよく遊んでいた。だが体力的に人間がずっと遊び相手になるわけにもいかない。「馬の友達も必要」という川越の考えのもと、紆余曲折の末、引退馬の牧場「ノーザンレイク」を開場。それに合わせて茨城県から北海道新冠町に私たちとともに移動してくる。
気難しくて怒りっぽい面もあるが、川越との信頼関係は厚く、傍から見ていると対話が成り立っているように見える。食欲旺盛で人参、りんご、黒砂糖などのおやつはすべて自分のものだと思っているふしがある。放牧地で水を飲んだり草を食べている時に、近くに馬が寄ってくるとすぐに耳を絞り、時には追い払う動作をする。腹心の部下の芦毛ちゃんにも厳しく喝を入れている。私も無口をかけるのに手間取ったりしていると、よく喝を入れられている(苦笑)。
茨城時代のキリシマノホシ ウォーキングマシンを出て引き手なしで馬房に戻る
やはり茨城時代、馬場で川越と一緒に遊ぶ
芦毛ちゃん キリシマの部下でチームでは2番目に強い。
繁殖引退が決まり、縁あって引き取ることになった。茨城県から北海道までキリシマを運んできた馬運車に、途中から乗ってきて一緒に牧場に到着。放牧生活においては芦毛ちゃんの方が先輩だが、すぐに上下関係ができて気の強いキリシマの支配下となる。だがタッチノネガイ&タッチデュールに対しては強く、自分がチームの2番手であることを誇示している。
人間に対してはたいていは温厚だが、タッチノネガイを捕まえて収牧しようとする時に、走って近くに来るなど邪魔をしてくる。1番若いせいか、元気一杯のタッチデュールとともに収牧間際に走り回ってなかなか捕まえられないことも。(走るようにけしかけているのは、芦毛ちゃん)
タッチデュールとともに勢いよく走り回る芦毛ちゃん
キリシマにエアキックでちょっと反抗してみた後、デュールを追い払う芦毛ちゃん
タッチノネガイ 2020年9月にチーム入り。1番年長だが、キリシマと芦毛ちゃんにはかなわない。ただ1番後に来た娘のタッチデュールに対しては強気に振る舞い、3番手を死守。
繁殖を引退させる意向とのことで、縁あって前牧場から当牧場の預託馬となる。ガッチリした体型でのしのしと放牧地に入っていく姿は、横綱の土俵入りのようだ。耳を後ろに倒し気味にして不機嫌そう?というかいかめしい表情をしている場面によく遭遇する。前の牧場では面倒見の良いボスだったとのこと。なぜノーザンレイクでの地位は低いのかと自分の立場をお憂いているのかもしれない。放牧地では1頭で離れて草を食べていることが多いが、時折キリシマや芦毛ちゃんになぜか近づき、2頭に怒られ慌てて逃げている姿もよく目撃する。水の飲み方に特徴があり、ある程度の量の水を口の中に含んだのちに、それを時間をかけて喉に流し込んでいる。(シャトルもその飲み方をしていたので、さほど珍しくもない??)
耳を後ろに倒してちょっと不機嫌そうなタッチノネガイ
1頭だけ他の馬から離れて牧草を食むタッチノネガイ
タッチデュール 2021年7月にチーム入り。1番後に来たこともあり、女子チームでの序列も最下位。地方通算171戦17勝 兵庫クイーンC、くろゆり賞など地方重賞4勝。
引退後、現オーナーの乗馬となっていたが、乗馬には不向きと判断されて母タッチノネガイのいるノーザンレイクに預託馬としてやって来る。放牧地ではキリシマの厳しい洗礼を受けて逃げまどいながらも、隙を見ては懸命に草を食べていた姿が印象に残っている。小柄で細身ではあるが、食欲は旺盛。だから171戦もできたのだろう。気は強く賢いので、へそを曲げると無口をかけさせないこともある。物音に敏感だったり、強風が吹くと他の馬よりもテンションが高くなる。そんな時は立ち上がったり、小走りになるので、放牧地からの出し入れ担当の私(佐々木)は、常に緊張している。熊癖があり、馬柵棒(ませんぼう)に首の部分をこするので、オーナー購入の馬着に付属したネックカバーはすぐに擦り切れてしまった。目がパッチリしていて可愛い顔立ちなのと、171戦という戦歴から現役時からファンがついていた。
ノーザンレイクに仲間入り2日目 先輩たちから少し離れた位置で草を食むデュール
目がパッチリで可愛い顔立ちのデュール
4頭の関係がよくわかる例を紹介する。
冬期間、夜の間に飲み水が冷たくなることもあり、放牧地に出た馬たち(もちろんドットさんことメイショウドトウも)はとにかくお湯が来るのを心待ちにしている。キリシマと芦毛は水桶をかけるフックのあるあたりに陣取って、お湯が来るのを待っている。川越がお湯を運んで来ると当然のようにキリシマが1番にお湯を飲み、2番手が芦毛ちゃん。タッチノネガイが少し離れた場所に控えていて、タッチデュールはさらに離れた位置で様子を窺っている。タッチノネガイがようやく水桶にありついても、キリシマは容赦なく圧をかけることも。キリシマや芦毛ちゃんが水桶付近から離れるとデュールがやって来る。これが冬の恒例行事となっている。こうしてキリシマの恐怖政治のもと女子チームはうまくまとまって?放牧地での時間を過ごしているのだった。
キリシマがのはるか後ろに控えるデュール お湯飲み1番乗りはやはりボスのキリシマノホシ
ようやくお湯にありついたタッチノネガイを威嚇するキリシマ
落ち着いた頃にやってきてお湯を飲むデュール
以上、女子チームの相関関係や性格、エピソードなどを紹介させてもらった。今後も観察を続けて、女子チームについてまたお伝えする機会を作りたいと思っている。
話題はガラッと変わってお知らせを1つ。Loveuma.さんとのコラボグッズ第2弾が本日1月31日に発売になった。今回は当牧場代表の川越靖幸のルーツでもある、アイヌ民族のアイヌ文様モチーフのデザインだ。アイヌ文様制作は、北海道平取町二風谷在住のアイヌ伝統工芸作家の貝澤守さん(貝沢民芸店主)だ。一説によるとアイヌ文様には魔除けの意味があるとされていて、引退した馬たちが穏やかに暮らし寿命を全うできるよう魔除けの願いを込めた文様として制作していただいたとのこと。文様をあしらったアイテムは、シンプルで美しい仕上がりとなっている。ご購入いただければ幸いだ。(収益は引退馬支援に活用され、ノーザンレイクにも一部寄付されます)
97アイテムを新たに追加!
(つづく)
Loveuma.のオフィシャルグッズを販売するオンラインショップをオープンしています。
ノーザンレイクダイアリーでお馴染みの、メトと芦毛ちゃんをモチーフにしたデザインのグッズも販売中!
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苫小牧信用金庫
新冠支店
普通 1510035
川越 靖幸(カワゴエ ヤスユキ)
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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会
文:佐々木 祥恵
編集:平林 健一
著作:Creem Pan
改めて女子チームの力関係や個々の性格がよく理解できました。
キリちゃんは、「長らくひとりっ子だった長女」みたいな存在ですね。
「おやつはすべてワタシのもの」であった時期が長かったために、「もらう時はワタシが先」が当然となっている。妹ができても「お湯はワタシがいいと言ってから飲むのよ😠」という感じ。
メジロドーベルなんかもそうですが、こういう強い自意識とリーダーシップを発揮する長女さんは「お父さん」との結びつきが強くなるように思います。
川越さんの片腕として、「ワタシがしっかり牧場仲間を仕切っていかなければ!💪」と自覚しているのかもしれません。
収牧の時に「いけない子😜」になるのは、芦毛ちゃんだったのか。。。
つかまえに来る中の人を嘲笑うかのように駆け回る姿からは、様々なセリフや高笑いが聞こえるような気がします。(「まだ帰りたくないの!」「デュールちゃんも帰っちゃダメ!」「ハハハハハハ!!」)
ネガイさん、だいじょうぶ、だいじょうぶ! 画像ではちっとも重戦車には見えませんよ!
(でも、土俵入りはぜひ一度ライブで見たい😅)
横綱の娘にしては小柄なデュールさんは、パッツン前髪とパッチリお目々が本当に可愛い。🥰
このキュートさで、171戦17勝ものキャリアがあったとは!😮
アイヌ文様のグッズ、すごく素敵です! ケルト文様にも見られるデザインの美しさと神秘性があって。どれから買おうかな🎵?
女子チームの相関レポートありがとうございます😀
(ネガイさんと芦毛ちゃんの歳が10も差があったのかぁ…。)
キリちゃんの”ボス”っぷりは有名ですが、
4頭の年齢や入厩歴をまとめると各々の立場が分かって親近感が増してきました。
生い立ちや個性があるので各々に対する接し方があると思われますが、
4頭の個性が”魅力”となって多くの人達に愛される馬になって欲しいものです。