メイショウドトウもソワソワ…冬支度が進むノーザンレイクに、寄付金で作られた〇〇が!
北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。
そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、
馬ときどき猫な日々を綴ります。
ノーザンレイクのある馬産地日高・新冠町も、秋が深まり冬の気配が感じられるようになった。ところどころに紅葉もまだ見られるが、落ち葉もだいぶ目立っている。
ノーザンレイクを応援してくれている方々が、ノーザンレイク内にある木々の葉や枝などを使ってクリスマスやお正月用の飾りを作成してくださった。それらは近々立ち上げるノーザンレイクを応援するネットショップで販売され、利益は全てノーザンレイクに寄付いただけるとのことで、当牧場で暮らす馬たちのために使わせてもらう予定となっている。ショップがオープンし詳細が決まり次第、当ダイアリーで改めて告知させていただく。
馬モチーフの壁掛け
クリスマスにぴったりのリース
メトと蹄鉄のクリスマス用の置物
モデルはキリシマノホシ
白馬の正月飾り
モデルはタッチデュール
話は変わって10月31日は全頭削蹄日だった。朝7時半から、削蹄開始。一昨年牧場を開場した折に、知人から紹介してもらったのがK装蹄師だった。元々は出身地である茨城県で仕事をしていたが、現在は馬産地日高に根付いて装蹄師として活躍している。茨城時代のキリシマノホシの装蹄(当時は蹄鉄を装着していた)を依頼していたYさんとも親しい間柄ということもあり、Kさんとはすぐに打ち解けた。
削蹄待ちの面々
キリシマノホシは、蹄が薄く削蹄後は馴染むまで跛行気味になることが多々あったので、K装蹄師に蹄の質を良くするビオチンという成分の入ったサプリメントを薦められ、それを与えている。タイキシャトルも蹄が薄かったので、引退馬協会に許可を取ってビオチンを与えていた。
削蹄中の芦毛ちゃん
削蹄中のドトウ
K装蹄師は、サンデーサイレンスの血を引いている馬たちには蹄の薄い馬が多いと感じているそうだ。キリシマノホシの父はサイレントハンター(父サンデーサイレンス)なので、キリシマもサンデーサイレンスの血を引いていることになる。だから蹄が薄いのかもしれない。
「名馬は皮膚が薄い」とよく言われる。皮膚の一部が角化したのが蹄なので、皮膚が薄い馬は蹄も薄い傾向にあるのだろう。
Loveuma.を運営しているCreem Pamも制作に関わった「世界を変える日本競馬~サンデーサイレンスとホースマン達の軌跡~」(テレビ東京系列)が11月12日に放送されたが、その中でサンデーサイレンスの血を受け継ぐ産駒たちが日本のみならず世界的に活躍する様子が紹介されていた。そこに登場するサンデー系の馬たちにも、恐らくは皮膚や蹄が薄いという走る馬の特徴があるのではないかと想像しながら、興味深く視聴した。
【公式】本編見逃し配信①|武豊騎手&オリビエペリエ騎手「サンデーサイレンス伝説㊙話」
|世界を変える日本競馬 ~サンデーサイレンスとホースマン達の軌跡~
さて当牧場の削蹄作業だが、どの馬もある程度年齢を重ねているので、特に問題なく終了した。夏場は蹄が伸びるのが早いが、冬場は伸びが遅くなる。蹄の状態にもよるが、次回は1か月半ほど先になりそうだ。削蹄を終え、各馬を放牧に出すと廊下には削った蹄が落ちている。これまでは捨てていたのだが、今回いくつか拾ってみた。普段馬に関わりのない方々が削った蹄を目にする機会はまずないはずだ。なので11月12日の見学日から、削った蹄を実際に見て触れる体験をしてもらっている。皆さん、その硬さに驚いていた。これからも、見学に来た方々に少しでも楽しんでもらえることを考えていくつもりだ。
削った蹄
そして皆様から頂戴した寄付金使用第1弾のご報告を。壊れて外したままだったパドックの扉を11月5日に取り付けた。まだ請求書が来ていないので、はっきりした金額はわからないのだが、ありがたく寄付を使わせていただく予定だ。
取り付けたパドックの扉
ちなみに新しい扉取りつけ後のパドック使用第1号は、ドットさん(メイショウドトウ)。ドトウが放たれている放牧地周辺の草刈りをするとその音に敏感に反応して落ち着きがなくなるので、その日はパドックに放牧してみた。いつも馬房の裏戸から目にしている場所のはずだが、放したのは初めてだったせいか、軽く走ってみたり、ウロウロしてみたり、パドック内にある小屋の中を覗いてみたりと少しの間、落ち着かなかった。ドトウはおっとりのイメージを持たれている方もいるだろうが、慣れない所ではちょっぴりあたふたするという一面も持ち合わせている。
初めてのパドックで落ち着かないドトウ
そんなドトウの様子を見守りながら、昨年3月にこの世を去った元種牡馬のプリサイスエンド(引退馬協会所有)を思い出していた。一昨年10月。ノーザンレイクに到着してすぐにプリサイスをこのパドックに放したのだが、間髪入れずに草を食べ始め、まるで以前からこの場所にいるかのように落ち着いていた。そんなプリサイスに興味を持ったのか、メトもすぐに柵に上って寄り添っていた。プリサイスがノーザンレイクの仲間入りしたのは、2020年10月20日だから約2年前のことになる。懐かしさと同時に、秋の深まっていたこの時期にやって来たプリサイスにもう1度会いたくなったのだった。
到着後すぐに落ち着いて草を食べ始めたプリサイスエンド(2020年当時)
柵の上から見守るメト(2020年当時)
(つづく)
【ご寄付について】
ノーザンレイクでは運営資金のご寄付を受け付けております。
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馬と人が快適に過ごせる牧場を目指していきますので、今後ともよろしくお願い致します。
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可能であれば、寄付された旨を下記アドレスまでお知らせいただけますと幸いです。
寄付口座
苫小牧信用金庫
新冠支店
普通 1510035
川越 靖幸(カワゴエ ヤスユキ)
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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会
文:佐々木 祥恵
編集:平林 健一
著作:Creem Pan
懐かしいプリ様の草はみ動画で、手前に天然木の柵の一部が見える。もしやあれが「壊れた扉」だったのでしょうか?
天然は天然で、朽ちても風情がありましたね。ただ、風雪に傷んだ状態で大動物の体当たりや寄りかかりに遭ってはひとたまりもないでしょう。安全第一の管理がありがたいです。
クリスマスリース! メトさん付きデコレーション😻! それにお正月飾りまで!
画像からすでに冬の針葉樹の香りと手触りを感じます。
こんな形で “ 小さなノーザンレイク ” が自宅に届くとは❣️(まずは争奪戦を勝ち抜かねば....)
ノーザンレイクの皆様と、アイデアを形にしてくださる親切な妖精チームに感謝です。
牧場内の木々の葉や枝を使って制作されると聞き、なぜかトルーマン・カポーティの『クリスマスの思い出』や、芭蕉の句(「籠り居て木の実草の実拾はばや」)の記憶がよみがえりました。
厳しい季節には楽しい準備で立ち向かう。人の知恵と覚悟と無類の温かさをブレンドした、北国の冬支度ならではの風趣を味わえる素敵な飾りを楽しみにしています。🥰
(北国=北海道、フィンランド、米国メイン州、兵庫県豊岡市日高町の神鍋高原スキー場ゲレンデ周辺ほか多数)
やはり環境に変化があると普段見ないところが気になるものですね、しかしドトウが走ったところ(軽くですが)を初めて見た気がします。そんな貴重なシーンが記事を通して見れるのはありがたいですね😆