実は飛び入り参加だった⁈ 看板猫・メトのヒミツ
北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。
そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、
馬ときどき猫な日々を綴ります。
午前3時過ぎの厩舎
昨年の今頃はノーザンレイクのある新冠町も猛暑に見舞われていた。それにともないアブの襲来時間がどんどん前倒しになってきたため、毎日午前3時前に起床し、3時過ぎに馬たちを放牧に出していた。過去の記録を遡ると、7月12日までは午前7時過ぎに放牧に出ていたが、13日に午前5時30分分に早まり、14日には午前4時20分に、17日からは午前3時過ぎの放牧になっている。午前3時過ぎはまだ暗い。
月明りの下のタイキシャトル
馬たちも最初はソワソワして戸惑っているように感じられたが、すぐに慣れて立ち振る舞いも普段通りになった。恐ろしかったのは、あたりがまだ暗いのにそこかしこからアブと思われる羽音が聞こえてきたことだ。太陽が昇り気温が上昇したらすぐに飛び立てるように、草むらの中でウォーミングアップをしていたのだろうか。1番早い時で午前5時過ぎにアブが襲来し、5時40分には集牧ということもあった。
薄暗い放牧地での女子チーム
あたりが暗いうちから起き出す毎日はまるで何かの修行をしているようだった。暑さとアブによるこの早起き修行がいつ終わるのかと半ば絶望的な気持ちにしているが、その日を境に空気が爽やかになり、気温も下がった。同時にアブも激減して、放牧に出す時なりかけたある日、大雨と強風の悪天候(台風だったのか記憶が曖昧)となった。確か8月10日と記憶しているが、その日を境に空気が急に爽やかになって気温も一気に低くなった。同時にアブも激減して、放牧に出す時間が2時間ほど繰り下がり、修行から突然解放されたのだった。
昨年の例があるので今年も修行を覚悟していたのだが、7月24日現在、朝4時台に放牧に出したのは1度だけで、だいたい6時前後での放牧が続いている。どうも昨年とは気候が違うようだが、今週から晴れマークが多く予想気温も高いので、いよいよ修行が始まりそうな予感がする。
メトが見守る午前4時過ぎの放牧地
ノーザンレイクの看板猫のメトはこの時期、昼間思う存分寝て、夜にパトロールに出かける。敷地が広いこともあるが、牧場の外には出てはいないようだ。
2020年7月18日、メトは突然現れた
メトは一昨年、この土地に引っ越してきた3日後に突然現れた。住居の横にあるボロ小屋にいるところを期間限定の助っ人が見つけた。初めから異常に人懐っこく、人間の後について厩舎の中までやって来た。そして私の顔を見上げて大きな声で鳴き続けた。ご飯も欲しかったのだろうが、仲間に入れてくれと必死に訴えているように感じた。
翌日も姿を現し、助っ人の膝に乗ったりしていた。夕方になるとまた大きな声で鳴いていたので、猫用フードを購入して与えた。すると仲間に入れたと思ってホッとしたのか、うるさいくらい大きな声では鳴かなくなった。こうして猫は厩舎に居付いた。
助っ人は「ねこ」と呼んでいたが、名前はあった方が良いと思い、フェイスブックや知人に呼びかけて名前を募集した。その結果、アイヌ語のメコ(猫)と同じくアイヌ語のトー(湖・ノーザンレイクのレイクから連想)から取った、メトという名前に決まった。
朝のパトロール中のメト
メトはキリシマノホシと芦毛ちゃんが最初に放れていたパドックの柵に登ってみたり、馬房の藁の上で寝ていたりと、すっかり牧場に溶け込んでいた。
芦毛ちゃんは女子チームのナンバー2として、今でこそタッチノネガイやタッチデュールにきつく当たったりしているが、元々はとても気立てが良い馬だった。メトの存在もすぐに受け入れ、顔を寄せるなど優しく接してくれた。メイショウドトウの背中に乗ったメトが知れ渡っているが、芦毛ちゃんの背中にも実は乗っているのだ。
メイショウドトウの上に乗ったメト
その時も芦毛ちゃんは水を飲んだり、馬房内で少し移動したりはしていたが、メトが降りるまで嫌がる素振りは見せていなかった。芦毛ちゃんとメトはノーザンレイクの初期からのメンバーだけあって、通じ合うものがあるのではないかと個人的に思っている。
2020年8月、出会ったばかりの芦毛ちゃんとメト
ノーザンレイクで夏を迎えるのも3度目となる。馬も人もなるべく快適に過ごせるように、今年はあまり猛暑にならないでほしいと願うばかりだ。
(つづく)
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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会
文:佐々木 祥恵
編集:平林 健一
著作:Creem Pan
自らの手で勝ち取った永遠の住処を手にしたメト。
これからも馬もネコちゃんものんびり暮らして欲しいですね!
突然現れたメットさんは牧場の守り神なのかもしれませんねぇ・ω・
メトさんの来歴のヒミツ、バージョン2:
本当は近所に家が何軒かあって名前も五つぐらい持っていた。
ノーザンレイクの前身の草ボーボーの牧場は、誰かが手入れさえしてくれたら別荘にしようと思って時々見回りに立ち寄っていたところ、ある日、働き者らしい人たちが馬と一緒に越してきて雑草をきれいに刈ってくれた。これ幸いと思って「よくできました。それでは、別荘番にしてつかわす!」と鳴いて告げると、ありがたき幸せとばかりにゴハンやおやつを出して歓待してくれた。「苦しうない」と思ったメトさんは、それ以来、この新しい家族と共に別荘に永住することにした。
猫は色々とヒミツの多い動物ですから、上のような可能性も否定できません。
メトちゃんの命名の由来、公開ありがとうございます。
私自身のハンドルネームの決め方に何だか似ていたので、
ホッコリ❣️
メトちゃんは、まるで、ノーザンレイクの看板猫になる
べくして、ノーザンレイクさんの姿を見せた、私には
その様に思えてなりません。
馬も猫もハッピーに💕💕そしてそれを見つめている人間も
ハッピーですね。
お世話大変だと思いますが、頑張ってください。