'06 東京スポーツ杯2歳Sを制したドリームジャーニーのライバルは、若馬たちの成長を支えるリードホースに!|フサイチホウオー vol.17
かつて観衆を沸かせた名馬の"今"を紹介!
走り終えた今も、観衆を魅了したあの日の輝きは、決して色褪せない。
全国で暮らす、名馬の個性と"今"を集める『ウチの子はあの名馬!個性にLOVE❤︎ 引退馬コレクション』をお届けします!
今回のコレクションは、2007年の共同通信杯(G3)などを制した、フサイチホウオー!
現在は、北海道勇払郡安平町にあるノーザンファームYearlingで暮らしているとのこと。
そのお世話をしている長野さんにマル秘情報をたくさん聞いちゃいました!
長野 之祐さん
(ノーザンファームYearling 厩舎長)
ウマ歴:26年
出身地:宮城県
趣味:サウナ
休日の過ごし方:YouTube鑑賞
フサイチホウオー
ニックネーム|ほうお
生年月日|2004年2月16日
生産者|ノーザンファーム
馬主|関口房朗
戦績|11戦4勝(2着0回,3着1回)
獲得賞金|1億4,331万円(中央)
主な勝鞍|2006年 東京スポーツ杯2歳S(G3)、2006年 ラジオNIKKEI杯(G3)、2007年 共同通信杯(G3)
父|ジャングルポケット
母|アドマイヤサンデー
母父|サンデーサイレンス
ここにきた日|2021年7月30日
フサイチホウオーは、デビュー戦を快勝して挑んだ2006年の東京スポーツ杯2歳S(G3)で1番人気に推され、2着フライングアップル、3着ドリームジャーニーとの激闘を制し、デビュー2戦目で早くも重賞タイトルを手にしました。
その1か月後、阪神競馬場で行われたラジオNIKKEI杯(G3)(現在のホープフルS(G1)の前身)に出走すると、直線では外から上がり最速の脚を使い、前を行く2着ヴィクトリーをゴール前で差し切って優勝。
更に、年が明けて始動レースとなった2007年の共同通信杯(G3)では、馬場の真ん中から力強く伸びる競馬で、単勝1.4倍の人気に応えて1着となり、デビューから4連勝で重賞3連勝を果たしました。
続く皐月賞(G1)では、先頭・2番手で競馬を進めた1着馬ヴィクトリーと2着馬サンツェッペリンを外から怒涛の末脚で追い詰めるも、ハナ差/ハナ差及ばずの3着に惜敗。
その後も牡馬クラシック三冠レースには皆勤しましたが、4歳4月に屈腱炎を発症したことで引退を発表。
引退後は乗馬となる予定でしたが、全妹トールポピーの優駿牝馬(G1)優勝が後押しとなり、種牡馬としてアロースタッドで4シーズン繋養され、33頭の産駒を送り出しました。
種牡馬引退後は乗馬として活動していましたが、最終的には故郷のノーザンファームでリードホースに。
長野さんが働く厩舎のお隣にいましたが、上司の方から「リードホースとして管理しないか?」とのお話があり、快く引き受けられたとのことです。
アザトイ&オオグイであり、クールなところが「ほうお」の個性なのですね。
担当している長野さんに、フサイチホウオーの"印象的なエピソード"を聞いてみました!
「当歳時に管理をしていた馬で、当時では高額な1億円で売られダービー出走まで果たした想い入れの深い馬でした。
17年経過し、また自分が管理することになるとは思わず、とても運命を感じずにはいられません。」
なんと…!奇跡の再会ですね!!
仔馬の頃から携わっていた馬が、引退後も様々な進路がある中でノーザンファームに帰ってきて、しかも数ある育成厩舎の中から、お隣の厩舎に入り、長野さんにお声が掛かった。
本当に「運命」と言うほかありませんね!!
フサイチホウオーは、長野さんのホースマン人生において、とても大切な一頭なのだと感じることができました。
好物のニンジンを食べるフサイチホウオー。
(人には)優しい瞳が推しポイントです!
同僚のトライアンフマーチは、寂しい時に呼び合う仲良しの馬なのだそうです。
馬房から顔を出すフサイチホウオー
放牧地で、のんびり過ごすフサイチホウオー
ウォッカのダービーの1番人気馬で記憶にある方も多いと思います。
レースで負けはしましたが、印象は抜群でした。
今は当歳馬や1歳馬のリードホースとして頑張ってくれています。
来年で20歳となりますが、馬体や気持ちは、しっかりとしているので、まだまだ頑張ってくれると思います。
私にとっても想い入れの強い大切な一頭なので、しっかりと感謝しながら管理していきたいと思います。
長野さん、フサイチホウオーのマル秘情報をたっぷりご提供いただき、ありがとうございました!
なお、ノーザンファームYearlingさんは競走馬育成牧場ですので、防疫上の観点から一般の見学は不可となっています。
ノーザンファームYearlingさんのSNSアカウントはありませんが、同じグループ内のノーザンホースパークさんのアカウントには稀に登場しますので、そちらを是非チェックしてみてください♪
X(旧:Twitter)|ノーザンホースパーク
Instagram|northernhorsepark
Facebook|ノーザンホースパーク / Northern Horse Park
WEBサイト|Northern Farm
協力:ノーザンファーム
ノーザンファームYearling
取材・文:片川 晴喜
デザイン・編集:椎葉 権成
制作:Creem Pan
著作:Creem Pan・GJ
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昔は「リードホースは保母さんみたいな役」と聞いていたので、常に牝馬がなるとばかり思っていました。
しかし実際は、立派な保育士として大成するセン馬もいるんですよね。レイクヴィラファームのホウオウドリームやトリオンフ、それに追分ファームの優しいフェノーメノおじさまとか。
仔馬も1歳になると力が強く、牝馬のリードホースの手に負えないヤンチャ坊主も出てきます。
男の子が若さを持て余して不良になる前に、厳しくもカッコいい保父さんにお預けして心身を鍛えながら行儀を教えていただくのがよろしいですね。
レイクヴィラのスタッフさんによると、仔馬のプロモーションビデオや写真を撮るときにも🎬📹リードホースが付き添うことがあるとか。舞台袖で「だいじょうぶだよ」と温かく見守ってくれる監督さんみたいな存在感は、カメラデビューの仔馬が落ち着いてポーズを決める助けになるそうです。
フサイチホウオー号も、そういう頼られ役なのかな?
乗馬やリードホースは、どの馬にでもできるという仕事ではありません。
適性に恵まれたからこそ第二、第三の馬生が開けるわけで、その適性は「生まれ(遺伝)」と「育ち(環境)」の賜物です。
当歳の頃に真心こめて育ててくれた人がいたおかげで、人間への信頼を失わずに生きてきた。「ほうお」もそんな一頭でしょう。この種の信頼は馬から馬へ(母から子へ、リーダーから弟子へ)受け継がれます。これからも長野さんといっしょに、ふるさとで健やかな若駒を育ててください。☺️
(リンゴ送りたいのに嫌いなんだね。『白雪姫』でも読んだの? 🍎☠️ ←←←🐴👎)