'98'99 エリザベス女王杯を連覇した「メジロ」の血を継ぐ歴史的名牝は、リードホースとして仔馬を導く、頼れるお姉さんに!|メジロドーベル vol.15
かつて観衆を沸かせた名馬の"今"を紹介!
走り終えた今も、観衆を魅了したあの日の輝きは、決して色褪せない。
全国で暮らす、名馬の個性と"今"を集める『ウチの子はあの名馬!個性にLOVE❤︎ 引退馬コレクション』をお届けします!
今回のコレクションは、1997年の優駿牝馬(G1)や1998,1999年のエリザベス女王杯(G1)を制した、メジロドーベル!
現在は、北海道虻田郡洞爺湖町にあるレイクヴィラファームで暮らしているとのこと。
そのお世話をしている的野さんにマル秘情報をたくさん聞いちゃいました!
的野 裕紀子さん
(Lake Villa Farm 繁殖牝馬、当歳、功労馬担当)
ウマ歴:24年(高校馬術部~)
出身地:大阪府
趣味:ランニング、アニメ、音楽
休日の過ごし方:ランニング、買い物、推し活
メジロドーベル
ニックネーム|ドベちゃん、ドーベルさん
生年月日|1994年5月6日
生産者|メジロ牧場
馬主|メジロ商事
戦績|21戦10勝(2着3回,3着1回)
獲得賞金|7億3,342万円(中央)
主な勝鞍|1996年 阪神3歳優駿牝馬(G1)、1997年 優駿牝馬(G1)、1997年 秋華賞(G1)、1998,1999年 エリザベス女王杯(G1)
父|メジロライアン
母|メジロビューティー
母父|パーソロン
ここにきた日|1999年12月3日
メジロドーベルは、4戦3勝で挑んだ1996年の阪神3歳牝馬S(G1)(現在の阪神JF(G1)の前身)をレースレコードで制し、最優秀3歳牝馬に選出されました。
翌年の桜花賞(G1)ではキョウエイマーチの2着に敗れるも、優駿牝馬(G1)と秋華賞(G1)を連勝し、最優秀4歳牝馬、最優秀父内国産馬を受賞。
5歳時には府中牝馬S(G3)を勝って臨んだエリザベス女王杯(G1)で、1番人気1.4倍に推されていたエアグルーヴとの対決を制し、牝馬として史上初のG1競走4勝目を挙げたほか、最優秀5歳以上牝馬にも選出されました。
そして史上初の連覇をかけた1999年のエリザベス女王杯(G1)は、前年牝馬二冠のファレノプシス、優駿牝馬を勝ったエリモエクセルとの三強になりましたが、ライバルたちを尻目に抜け出して1着となり、牝馬のG1競走勝利記録を5勝に伸ばしたことに加え、前年に続き最優秀5歳以上牝馬にも選出され、まさに歴史的な名牝としての地位を確立。
有終の美を飾ったとして、これを最後に引退することが決定され、東京競馬場で引退式が行われた後、産まれ故郷のメジロ牧場に移動し、繁殖牝馬として第二の馬生を送り、現在はリードホースとして牧場を支えています。
ウマ娘では「クールビューティー」の異名を持つメジロドーベルですが、29歳になったリアルのドーベルさんも「人懐っこさ☆1(クール)」なんですね(笑)
オオグイ×イケイケで、個性もハッキリしていますね。
担当している的野さんに、メジロドーベルの"印象的なエピソード"を聞いてみました!
「ドーベルの娘、メジロオードリーとの出来事です。
オードリーは群れのボスで、母のドーベルにも、かなり強くあたる事も。
もちろんドーベルは無駄な喧嘩や争いはしませんので、オードリーと喧嘩になることはありませんが、基本的には距離のある親子でした。
ですが2021年、オードリーが、お産から約4ヶ月で急死してしまい、その娘(ローマンレイク、現2歳)が、たった1頭、群れで離乳せざるを得ない状況になった時、真っ先にドーベルが孫娘のところに駆けつけてくれた事がありました。
普段、群れでは1番距離があった祖母と孫娘でしたが、1頭でポツンと鳴いている姿に気づいて側にいてくれたドーベル。
感謝という言葉では足りません。」
ドーベルがローマンレイクの事を孫娘と認識していたかは分かりませんが、何かを感じて側にいてあげたドーベルの分け隔てのない愛情には、私も、ただ尊敬の気持ちでいっぱいです。
今年29歳になるドーベルですが、馬体はパンパンで、健康斑(銭型の斑点)が出ています。
体重測定の時は、表示された数字を見ずに、遠い目をしている事が多いそうです。
いくつになっても、レディーなんですね(笑)
毎年群れが変わるので、その時の群れで相性が良い馬と一緒にいる事が多いドーベル。
その中でも特に仲の良い1頭に、メジロスプレンダーがいます。
そして、上3枚とも、全てメジロスプレンダーの子供達との写真。
メジロスプレンダーの娘「スプちび」は、同じ群れになれば必ずドーベルに"べったり"で、友達に取られまいと必死にドーベルの隣を死守しているとのこと。
ドーベルの隣を譲らないというところが、不思議と兄妹みんな同じだそうです。
基本的にママグループのボスとは、どんな馬でも距離を最大限にとっているそうです。
群れの迷える若馬を導いてくれるドーベルさん。
リードホースとしても"名馬"かもしれませんね。
人にベタベタされるのも、馬着を着るのも好きでは無いですし、ブラシなんてもっての外のドーベルですが、父メジロライアンと同じで「本当は、そんなに人に構われるのは嫌いじゃない」というツンデレタイプのお姐さんです。
繁殖のお仕事を引退して、リードホースの仕事を始めてからは、まさに「天職」という感じです。
親子でいる時は適度に距離を取り、介入をせず、母馬という存在を誰よりも尊重してくれています。
離乳してからは、群れに馴染めない子を群れに入れるように促すなど、積極的にまとめてくれます。
時には厳しく、ただ、ほとんどが優しさで溢れており、繁殖、当歳を担当する私にとって、1番のパートナーはドーベルです。
毎年、年齢を考慮し夜間放牧をそろそろやめようか、仕事も楽な仕事にしようか、と考えるのですが、誰よりも群れの中にいる事を望み、リードホースの仕事を生き甲斐にしている姿をみると、ドーベルのやりたい事をめいっぱいしてもらいたいと思い、今年も仕事に励んでもらっています。
年齢の事もあり、ご心配の声も耳にしますが、ドーベルがドーベルらしく、イキイキと仕事をしている姿を応援していただければと思います。
的野さん、メジロドーベルのマル秘情報をたっぷりご提供いただき、ありがとうございました!
なお、レイクヴィラファームさんは競走馬生産牧場ですので、防疫上の観点から一般の見学は不可となっています。
しかし、レイクヴィラファームさんのSNSでは、メジロドーベルの姿をチェックできるので、ぜひフォローしてみてください♫
X(旧:Twitter)|@villa_lake
Instagram|lakevillafarm
Facebook|レイクヴィラファーム
WEBサイト|Lake Villa Farm
協力:株式会社 レイクヴィラファーム
取材・文:片川 晴喜
デザイン:椎葉 権成
編集・監修:平林 健一
制作:Creem Pan
著作:Creem Pan・GJ
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ドーベルとローマンレイクとのエピソードはじんわりきてしまいますね。
少し前までは現役の時のドーベルの姿しか知ることができなかったであろうことを考えると、こうして数多くの媒体で今の健康で、そしてレースでもお産でもない、リードホースとして新たな場所で生きる彼女のことを知ることができるのは、当時走り続ける彼女を応援し続けてきた人にはとても良い時代なのだと思います。 健康斑の年中出ているムチムチな体をこれからも維持し続けて、これからも多くのとねっこたちの成長を導き続けてほしいと思います。
今回のようなドーベルのエピソードを聞くたびに、親戚にこんなお姉さんがいたらゾッコン崇拝するだろうな~と思えてなりません。🤩💕
冠婚葬祭で集まった一族郎党の中でひとりポツンと浮いていたら、いつの間にか隣にいてさりげなく話しかけてくれるような。それをきっかけに何となく人の輪に溶け込めてホッとしていると、またいつの間にか(次のポツンを探して)いなくなっているような。
出しゃばらず、芯が強く、気配り目配りが第二の天性。厳しくも優しい古典的な「長女」タイプですね。みんなから自然に尊敬を集め、頼られてしまう存在。☺️
ドーベルは賢いのでことわざや慣用句をたくさん知っているような気がします。:
「弱きを助け、強きを避ける」
「名馬危うきに近寄らず」
「前門の馬着、後門のブラシ」
「馬も歩けばニンジンに当たる」
「二度あることは三度あったはず」(エリザベス女王杯回顧より)
他多数。